強引年下ピアニストと恋するカクテル。



「え、渡すの?」

あんなに失礼な態度をとられたのに、颯太くんは全く気にしている様子もなく頷く。

「緊張してるだけだよ。みいちゃんから花束貰えたら、きっと嬉しがると思うな、あいつ」

でも、さっき機嫌が悪そうだった。
そりゃあ、私だって一言ぐらいは会話してみたいとか、あわよくば接近したいって下心を全開にしてここまで来たけど。

あの天使の様な蒼村怜也にさっきみたいに冷たい態度を取られたら、ショック死してしまいそう。

「悪いけど、スタッフルームへ案内してあげてくれる?」

BARカウンターの中でシャイクしていたイケメンに颯太くんが頼むと、にこやかにカウンター内に入れてもらってもう逃げられなかった。

「真っ直ぐ行って左の部屋が彼の控室です」

「あ、ありがとうございます」

彼のファンのままでいたいから、これ以上ショックが起こる前に帰りたいのが本音だったけれど、とぼとぼとスタッフルームへと向かった。

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