強引年下ピアニストと恋するカクテル。


一瞬、ファンだしま、いいかって流されそうになったけど。
いくら憧れの蒼村怜也だからって、義兄になる予定の人の店で、裸になる様なことは一切しません!
焦ってうろたえる私とは対象的に、さらに蒼村怜也は不機嫌になった。

「ああ? なんで止めねえんだ。てめえ、結婚するんだろうが。男を見せろって」
「男を見せろって、じゃあ君を力づくでも俺に従えさせるの? 大体君って指の保険入ってるから怪我させたら俺だってダダじゃすまないし」
「そんな話じゃねえ!」

ああ。
駄目だ。今の蒼村怜也は好きな人を奪った颯太くんに対して敵意しか向けていない。

「もういい! てめえら、余計な話しすんじゃねえぞ、いいな」

怒った蒼村怜也はスタッフルームから出て行った。
嵐のように私と颯太くんに絡んでおきながらあっさりと。

「……えっと怜也に何かされなかった?」
「されてないけど、驚きました。なんかテレビや雑誌で見ている蒼村怜也じゃなかったから」
「……」

颯太くんは、怜也が開けっぱなしにしたロッカーを閉じながらにこにこ笑っている。
その様子は、可愛い弟分の反抗期に苦笑しつつもやっぱり可愛いって許容範囲だと言わんばかりに受けとめている。

「怜也は外見とは裏腹に、ワイルドな性格をしてるよ。海外でもその見た目からからかったりセクハラしてくる学友を口で力でコテンパンにしてきたんだから」

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