強引同期に愛されまして。

「何やっても、デカいことだけ言って中身がないって言われ続けて。なんかいろんな奴らから馬鹿にされてるって思って不貞腐れてた時期もあったんだよ。でもそのころから、お前だけは違っただろ」


新人の頃は志望が営業だろうがSEだろうが、CEだろうが、一緒くたに研修をして、コンピュータとネットワークの基礎を叩きこまれたっけ。
私はこのオカン体質もあって、いろんな人の“世話係”だった。よく頭を抱えている田中くんにも、張り付いて勉強させたっけ。


「『どうせ俺は営業だからこんなのわかんなくてもいいんだよ』って言ったらさ、お前『そういうのはわかっている人間が言うから格好いいんであって、最初からあきらめてるやつが言うことじゃない』って俺のこと叱りやがった」


そんなこともあったかな。
でもそれで私に惚れるなら、あなた相当のマゾですけど大丈夫?


「腹立ったけどさ。でもお前は諦めなかったから。仕事終わってからも居残って俺に教えてくれたこともあったろ」

「……そうね」

「今だから言うけど、俺はあの頃からお前のことが好きなんだよ」


……それは、長くないか?
だとしたら七年もの片思いってことになるけど。
そこまで一途な男だとは思えないけれども。


「嘘よ。普通に女口説いてる時期もあったじゃない、アンタ」


田中に口説かれたぁとか言ってる同僚の愚痴だっていっぱい聞いたわ。
適当なこと言うなよ?

睨んでやったら、彼は降参とでもいうように両手を上げた。

< 77 / 100 >

この作品をシェア

pagetop