強引同期に愛されまして。
「一度手に入ったんならもう離したくないって思うのは当然だろ。いっそこのまま同棲まで持ち込もうと思って」
「それで鍵をくれたんだ」
歩きながら話を聞いて、色々と納得する。
そんなに前から思ってくれていたなんてびっくり。
でももっと前に告白されてたら、きっと私は断っていただろうな。
今だから彼の気持ちがうれしい。恋愛ってやっぱりタイミングも大事だ。
なーんて考えていたら、体ごと彼の背中にぶつかった。
マンションもすぐ近くだというのになぜ止まる。鼻を押さえて見上げたら、両肩を掴まれ真剣な顔で見つめられた。
まっすぐな瞳に暗くても分かるほど染まった頬。見てるとこっちもドキドキしてくる。
「もう、ここまでバレたんなら全部言うけど。お前は軽い気持ちで俺と付き合ってるのかもしれないが、俺はかなり本気だ。将来のことまで含めて、もう逃がす気とかないから」
「将来って。……でも田中くん、奥さんは専業主婦がいいんでしょ? 和賀さんがそう言っていたけど」
「それは……まあな。親がそうだったし、昔からそういう嫁をもらえって言われてたし。……でもお前が専業主婦になるなんて思ってねぇよ?」
「じゃあ、私じゃダメじゃん」
「理想と合わなくなってお前がいいって言ってんだ。別に家に入らなくたっていい。家政婦を雇うとか手はいくらでもあるだろ」