強引同期に愛されまして。
その言葉に、予想以上にほっとした自分がいた。
結婚なんて実感わかないって思っていたけど、心の底では、将来的に彼といる未来を望んでいたのかもしれない。
おなかのあたりが温かくなってきて、口が緩んでしまう。
ダメダメ調子に乗りすぎちゃ、と敢えて冷たく言ってみた。
「……金持ち発言」
「なんだと?」
「だってそうでしょ。どこの世界に家政婦雇う新婚とかいるのよ」
田中くんは甘い言葉が返ってこなかったことが不満なのか、唇を尖らせる。
「んだよ。お前のこと考えて言ってるんだぞ。納期近いときとかすげー忙しいだろう」
「アンタが代わりに作ればいいんでしょ。ご飯とか」
そう言ったら、すごく困った顔をされた。
「だって……出来ねぇし」
「教えてあげる」
「だったら弁当でもいいだろ」
「だめよ。ふたりのうちはそれでもいいけど、子供を人口調味料付けにする気?」
「はっ?」
慌てて真っ赤になる彼の顔は、すごくかわいい。写真に収めておきたいくらい。
私は思わず声を出して笑ってしまった。
不思議。
あんなに想像もできないと思っていた未来が、今は簡単に想像できる。
好き放題に動く彼を、私が叱って。私たちはたぶん、喧嘩もいっぱいするだろう。
ふたりでいるうちは、いつだって私のほうが立場が上で。
でも子供ができたらきっと、私より彼のほうがきっと過保護になる。
私はきっとやきもちを焼いてそっぽを向くけれど、彼は子供を私ごと抱き締めるだろう。