強引同期に愛されまして。
もう少し考えればよかったのだ。
母親が一人暮らしの息子の家に来た時にするであろうことを。
当然、合鍵は持っているだろうし、部屋の様子を見に来るよね。家事能力などない息子だもん、ともすれば食事も作ろうとかするよね。
そんな意気揚々とやって来た母親を迎えるのが、内緒で同棲してる彼女とか、修羅場でしかないんですけど。
慌てつつも隠れる訳にもいかない。もう声を聞かれてしまったし、玄関には私の靴がばっちり置いてあるのだ。
どうしたらいいのか分からず、とりあえず出迎えて謝った。
「あ、え、えと。すみません。私っ」
「あらあなた、さっきの」
ええ、さっき挨拶したOLですとも。
意外にも、お母さんから敵意は感じない。
大きな宝石のついた指輪を付けた手で口もとを押さえ、きょとんとした様子で私を見ている。
「すみません。怪しいものではないんです。私は三浦葉菜と言います。城治さんとは会社の同期で。その……お付き合いさせていただいてます」
「まあ、しっかりしたお嬢さんだこと」
ほわん、とした感じのお母さんは、「入ってもいいかしら?」と玄関先でおずおずという。
いやー。入ってください。私のほうが遠慮しなきゃならないのに!
「勿論です。どうぞ」
「それにしてもあの子にお付き合いしている人がいたなんて知らなかったわぁ。そろそろお見合いの話を考えなきゃって思ってたんだけど、いらなかったわねぇ」
聞き捨てならない言葉も聞こえたけど、とりあえず今の時点で彼女には私に対しての敵意はなさそうだ。