強引同期に愛されまして。
お母さんはしっかりと靴を揃えてから中に入り、「あ、お茶淹れるわね」なんて言うので、「お茶は私が淹れます!」と言ってソファに座ってもらう。
あれでも、勝手にお茶淹れてるとか図々しいのかな? 訳が分からなくなってきた。
お母さんは部屋の中をぐるりと見まわしている。
この二週間で、部屋の中はかなり私仕様にカスタマイズされてしまったから、当然聞かれるのはあれだ。
「もしかして……一緒に暮らしてる?」
「あー、えと。その、……はい」
直球な質問には、なにを言ってもごまかせる気がしない。
だってめっちゃ洗濯とか干しているもん。棚には田中くんが使うわけないようなアクセサリーや化粧品が置いてある。どう考えても私の生活臭がこの部屋からはするわ。
お母さんはのんびりした口調のまま、目尻を細めた。
「あらあ。知らなかったわぁ。城治ったらひとつも教えてくれないんだもの」
「あ、あはは」
とりあえず怒られはしないみたいだけど、空気はさっきより微妙に固くなってきている気がする。
私が勝手に緊張しているからかもしれないけど、顔の朗らかさの割には、空気が柔らかくならないというか。
どうしたらいいのだろう、私。
畜生、早く帰って来てよ、田中くん。
彼の部屋にはお茶道具もしっかりそろっている。艶のある茶色の急須、小さな花が描かれた上品な湯呑と茶托が五セット。これも、お母さんが用意したものなのかな。
なんとなく気まずい思いをしつつ、茶筒に入っていた茶葉で煎茶を入れた。