世子様に見初められて~十年越しの恋慕
「世子様っ!」
ヒョクに割り方を教わり、同じように斧を何度か振り下ろすと、初めて真っ二つに割る事が出来た。
「腕の力では無いのだな」
「左様にございます。力任せに割ろうとしても、肩や背中を痛めるだけです」
「斧を振り下ろすから腕や肩が重要かと思ったが、実際は腰と脚なのだな」
「はい、世子様」
「薪割り…………、実に奥深い」
見事に割られた薪を手にして、ヘスは感慨深げに見つめた。
体全体を使って薪割りをするという経験を通して、人として次期国王としての器が試され、それが漸く身をもって理解出来たようだ。
「陽が沈んでしまう。急いで割らねば」
********
「これはこれは月花商団様。遠い所お越し下さり、有難う御座います」
「別の所に取引に行く通りすがりなので、お気になさらず」
ソウォンはユルと数人の商団の者を連れ、四度目の取引をする為、偵察中の穀物商に到着した。
「いつも良品揃いで助かります」
「商売は信頼で成り立ちますから」
ソウォンは検品を終え、受領印が押された証票を受け取った。
すると、小間使いの男がそっと近づき、ソウォンに耳打ちする。
「奥の間でお茶でも如何ですか?」
目を細めながら口角を持ち上げた小間使いの男。
ソウォンは漸く信頼を得られたと実感し、少し安堵した。
ユルと目配せし、小間使いの男の後を追う。
すると、敷地の奥にある八角の形をした小部屋へと通された。