毒舌王子に囚われました
グラス一杯に入っている、琥珀色の……
「お茶、ですか?」
なんてね。そんなノンアルコール飲料、秋瀬さんがラストにもってくるわけないない。
「惜しい。アイスティー」
「……え、ジュースですかっ?」
なぜですか。秋瀬さんはここでもっとわたしを打ちのめしてくるだろうと予想していたのですが。
「みたいなもん」
みたいなもん?
胃に優しいものを飲んで締めくくるというわけですか?
「……怪しい」
「は?」
「秋瀬さん、優しすぎませんか」
「どうやらまだ酔いが足りないようだな」
「へっ?」
「ベロベロに酔ったお前は、俺にひたすら甘えてきやがるから」
「そうなんですかぁ!?」
それは完全に記憶がとんだときのわたしの話ですよね。知りたくないような、知りたいような……。
「新しいワインでもあけるか?」
「それは勘弁して下さい」
「だったらさっさと飲めよ。これで最後なんだ。……そうだな、まだそんなに遅くないし、飲み終わったら遊んでやってもいい」