毒舌王子に囚われました


「お前……」


しまった。全力で、秋瀬さんの発言を否定してしまった。

また怒られるかな……。


「なんでそこで眼鏡じゃなくて他人のこと心配してんだよ」

そういうと、秋瀬さんが口に手をあてて……、

笑った。

もう1度いおう。今度は口に出して。


「あ、秋瀬さんが……」

「なんだよ」

「秋瀬さんが、笑ったぁあ!」

「クララが立ったみたいに言うなよ。普通に笑うだろ、今のは」


会社ではクールでポーカーフェイス、笑顔なんて見せないといわれている秋瀬さんが。

わたしには、さっきから絶望的な眼差しばかり向けてきた秋瀬さんが。


「クララが立つより凄いです!」

「アホか」

「す、素敵ですね。秋瀬さんの……、笑顔」

「なんだお前。俺に惚れた?」


……え?


「お前まで、俺のこと好きとかいうんじゃないだろうな」


< 17 / 128 >

この作品をシェア

pagetop