毒舌王子に囚われました


食われる――なんて思わずにはいられなかった。

しかし、次に秋瀬さんの口から出たのは、意外な言葉だったんだ。


「腹減ったろ」

「へ……」

「なんか作ってやるよ」

「や、わたし、ちょっと二日酔いですし。遠慮……」「食え」

「えぇっ」

「ちゃんと、〝待て〟してろよ?」


まて……って、

「犬じゃ、ないですってば」


反論するわたしを全スルーして立ち上がると、どこかへ向かった。

奥に見えるスペースが、カウンターキッチンになっているようだ。

キッチンへと向かう秋瀬さんの背中を見つめ、思う。

どうしてすぐに……追い返さないんですか。

そもそも、わたしはあなたにとって、なんなんですか。

こんなに複雑な気持ちになったのは、生まれて初めてだ。

嫌われてはないのだろうけれども……

好かれている自信もない。


わたしは、秋瀬さんのこと……

好きになっちゃったの?

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