毒舌王子に囚われました


「え、ま、毎日?」

「そうだなぁ。1食ワンコインでどうだ。コーヒーのおかわりは自由」

「おっ、お金とるんですか!」

「当たり前だ」

「……そうですよね。食費かかりますし、あんなに美味しい朝ごはんがワンコインなら、お得です」

うんうんと納得していると、
「阿呆。金なんかとるか」と呆れるようにいう秋瀬さん。


「えっ、お金、とらないんですか?」

「飼い犬に金銭を要求する主人が、どこにいるんだよ」

鼻で笑われてしまった。


「かっ……飼い犬!?」

「ほれ、あっちいってろ。昼食の下準備もしておきたい」


洗い物を終えた秋瀬さんに、シッシと追い払われる。


「わ、わたしは秋瀬さんの飼い犬じゃ……」「利口に待てたら、褒美をやるから」


…………!!!


「ほう、び?」

「あぁ」
冷蔵庫を物色する秋瀬さん。


わぁ。冷蔵庫の中が……白い。なにもかもが、白い容器に入っている。

ドアポケットの飲み物はすべて移し替えられているのだろうか、牛乳も水も同じ透明な容器に入っているようだ。

細かすぎやしませんか。


「わ、わかりましたよ。あっち行ってます」

「よろしい」

「別に、ご褒美が欲しいわけじゃないですよ? 気が散ると悪いかなって、思っただけで……」

「はいはい」

「……信じてないですね?」

「いいから失せろ、ハチ公」

「誰がハチ公だ!」

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