毒舌王子に囚われました


……驚いた。

そんなあっさりと『毎日作ってやろうか』なんて、なにを考えているのですか?

ただの冗談……なのかな。だとしたら、それを真に受けてドキドキしているわたしはバカだ。


やっぱり、秋瀬さんは、チャラい。

どうせあなたは、わたしをドキドキさせた責任なんてとる気ないのですよね。

悔しい。悔しいけれど、秋瀬さんのペースにのまれっぱなしだ。


リビングのソファに腰掛ける。

さっきここで秋瀬さんと抱きしめ合ったことを思い出し、またドキドキしてしまう。


かき乱される。

秋瀬さんといると、こんなにも心がかき乱される。



少しして、秋瀬さんがやってきた。


「どけ」

「は、はい……」

立ち上がろうとしたわたしの腕をつかんで引き止めると、

「違う。少し寄れって意味だ。座れないだろ」
そういって隣に腰掛けてきた。


近いです秋瀬さん……!!

わたしは、あなたの半径1メートル以内に入ると危ない予感しかしません!!


こんなにそばにいるだけでもドキドキなのに、じっと見つめられて一層ドキドキしてしまう。

なに?

どうして、そんににジロジロ見てくるんですか?


「お前、いつまで俺の家にいるつもり?」

「え……、それは、もう、帰りますけど」

せっかくのお休みに長居してしまっては、迷惑でしょうから。

ん?

遠回しに、はやく帰れって言っていますか?

ですよね。帰ります帰ります……!

直ちに帰ります。食い逃げみたいになっちゃって、すみません。

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