毒舌王子に囚われました


と、突然――。


「ひゃっ!?」


左胸に、耳を当てられる。

「なにするんですか!!」

「嬉しくないなら――、なんでこんなに動悸が激しいわけ?」


ちょ、ちょっとぉ!??

わたし、ノーブラなんですけど……

いや、ブラをしていたとしてもこんなこと、許されないよ!!


「もうっ……離れて、下さい……」
両手で秋瀬さんの肩を押し、頭をどけた。

「いっちょ前に、感じてんの?」

バッカじゃないのぉ……!?

「だ、誰が……」

「処女って、こんなことでときめくんだな」


――!!!


「なん、で、それ……」

「見りゃわかるよ」


「くっ……悔しい」

心の声が、漏れてしまった。

目の前の悪魔に対しての本音が。


「どうして?」

どうしてもこうしてもない。


そうですよ……嬉しいんですよ。

秋瀬さんと、こうしていられることが。

あなたにわたしは、ときめいているんですよ。


それに、気づいてしまった。

それを、見透かされてしまった。


そうですよね? 秋瀬さん……

『どうして?』なんて言いながら、全部わかっている顔、していますよね。


ほんと……、悔しいっ……!!


そんなこんなで、夜まで秋瀬さんと過ごすことになった。

果たしてわたしは、ここから生きて出ることが……できるのでしょうか。

< 33 / 128 >

この作品をシェア

pagetop