毒舌王子に囚われました
「つ、続きみましょうよ。さっきの映画の続編。そうしましょう!」
「お前にそういうこと言われるの……むかつくな」
「は?」
「稚沙都」
――!
「名前、知ってたんですか」
「なぁ、稚沙都」
「なんですかっ……」
こんな近くから、まっすぐ目をみて名前で呼ばれるなんて、恥ずかしい。
「お前の人生の予定調和、全部狂わせてやりたい」
「……っ!?」
再び、押し倒される。
「なに安心しきってんだよ。ここ、どこだと思ってる?」
ベッドの上……ですが。
「だっ、だって……、わたしのことそんな目で見れないんですよね?」
「見れないんじゃなくて、見てないだけ」
「……?? 見ようと思えば、見れるってことですか?」
「俺の周りに女は必要ない」
必要……ない??
「でも、そんなにベタベタ触られたら、こうなるのが普通だろ」
「へ、下手くそって、言ったじゃないですかぁ!!」
「本当は、その、たどたどしさがたまらない……っていったら?」
手首を掴まれ、もう片方の手で、顎をクイッと持ち上げられる。
ひぃい!!
「あ、秋瀬さん……が、なにを考えているかわかりませんっ」
言ってることと、やってることが、違いすぎて。
服を捨てたとか言って、洗ってくれているし。
一人で遊べとかいって、映画一緒に見てくれるし。
犬とかいって、こんなこと、してくるし。
「なに、泣いてんの」
わたしだって、わかりません。
「泣けば俺が引くとでも?」
「そんなことっ……」
「お前の初めて、全部俺がもらってやるよ」