毒舌王子に囚われました
あぁ、このままわたしは、初めてをこの男性に捧げてしまうのだと――思った矢先。
「なに覚悟きめてんだよ」
「……??」
ギュッと閉じていた目をゆっくり開くと、真顔でわたしを見つめている秋瀬さん。
「なんなのお前」
「……へ?」
「生きてんの?」
頬を指で、つっついてくる。
そりゃ、生きてますけど。
息、してますけど……!?
「なにするんですかっ」
「気持ちいいくらい、俺の期待を裏切らないヤツだな」
「……期待、ですか?」
わたし、秋瀬さんに期待されていたんですか?
どのあたりが応えられているのかも、よくわからない。
「どこかにスイッチでもあるんじゃねーの」
意味がわかりませんが!?
「うるさいときは切っててやるよ、電源」
「そんなもの、ありません! 1度切れたらもう動きません」
「こりゃいい。返品せずに済みそうだ」
返品って、誰にですか。
「飯、作ってくる。いや、餌か?」
「……っ、」
ねぇ、秋瀬さん。
どうしてそんなに嬉しそうに笑うんですか?
なんだか、その姿。
まるで、新しいオモチャを見つけてはしゃぐ子供みたいで……
すっごく、可愛いじゃないですか。