毒舌王子に囚われました
――ただのペットだ
そんな風に言ったくせに、これじゃまるで同棲でもしているような気分になる。
毎晩のように、わたしを求めてくるし……。
それが嬉しくてたまらないわたしは、自分から秋瀬さんにそういうことを求めはしないが、求められれば応えてしまう。
今夜は接待で帰りが遅くなるということで、1人で眠りにつく。
大きなベッドに横になり、秋瀬さんの家で当たり前のように過ごしていることにまだ違和感しかない。
遅くなるって、何時かな。
仕事の付き合いとはいえ、もう、とっくに日付が変わっている。
……ダメだ、眠れない。
身体は疲れ切っているのに、今夜は眠れる気がしない。
1人には慣れているし、どちらかというと、1人になりたいタイプだった。
でも、秋瀬さんと過ごすようになってからは、2人の時間が心地いい。
一緒にいればいるほど、好きな気持ちが増していく。
「……喉、かわいたな」
キッチンに向かい、冷蔵庫――相変わらず扉を開ければ白と透明の容器できちんと整理されているそこから、ミネラルウォーターを取り出す。
グラスに注ぎ、冷蔵庫に容器をしまい、リビングのソファに腰をおろそうとした――そのとき。
リビングの電話が、鳴った。