毒舌王子に囚われました


……ワガママいって、いいですか。

家政婦でなく、お嫁さんがいいです。

秋瀬さんに、永久就職、したいです。

秋瀬さんと家族になる未来を、想像してみる。

「秋瀬さんの子供……可愛いだろうな」

もしも秋瀬さんに似たとしよう。

男の子だったら、美男子で。

女の子だったら、美少女に違いない。

「お前なぁ」

「あっ……今、わたし、口に出してました!?」

「俺と子作りしたいのか?」

「なっ……そ、そういうわけじゃ……つい、考えちゃいました。秋瀬さんと、ずっといたいなって。いつの日か子供もできて、仲良く食卓を囲んで……」

「想像できねーな」

……ですよね。わたしと、そんな風になる未来、秋瀬さんは考えていないですよね。

なんだか急に寂しくなって、思わず寝返りをする。

胸がチクリと痛い。

秋瀬さんに背を向けたわたしは、「お休みなさい」と瞼を閉じた。

「さっきの電話」

――!

「あれは、俺の同級生でな」

やっぱり。昔からの友人だったんだ。

そうだよね。あんなに親しげなんだ、ちょっとやそっとの付き合いじゃないことくらいわかっていた。

< 91 / 128 >

この作品をシェア

pagetop