毒舌王子に囚われました
……ワガママいって、いいですか。
家政婦でなく、お嫁さんがいいです。
秋瀬さんに、永久就職、したいです。
秋瀬さんと家族になる未来を、想像してみる。
「秋瀬さんの子供……可愛いだろうな」
もしも秋瀬さんに似たとしよう。
男の子だったら、美男子で。
女の子だったら、美少女に違いない。
「お前なぁ」
「あっ……今、わたし、口に出してました!?」
「俺と子作りしたいのか?」
「なっ……そ、そういうわけじゃ……つい、考えちゃいました。秋瀬さんと、ずっといたいなって。いつの日か子供もできて、仲良く食卓を囲んで……」
「想像できねーな」
……ですよね。わたしと、そんな風になる未来、秋瀬さんは考えていないですよね。
なんだか急に寂しくなって、思わず寝返りをする。
胸がチクリと痛い。
秋瀬さんに背を向けたわたしは、「お休みなさい」と瞼を閉じた。
「さっきの電話」
――!
「あれは、俺の同級生でな」
やっぱり。昔からの友人だったんだ。
そうだよね。あんなに親しげなんだ、ちょっとやそっとの付き合いじゃないことくらいわかっていた。