毒舌王子に囚われました


……秋瀬さんにも、こんな一面があるんだ。友情を大切にするとこ。

なんだか嬉しい。


にしても、今日は、自分のことをよく話してくれるなぁ。

ありがとう、お酒の力。


「稚沙都」

「はい?」

「こっち向けよ」

「……はい」

再び寝返りをして秋瀬さんの方をゆっくり振り向いたわたしを、
「……とろい」と抱き寄せてくる秋瀬さん。

腕の中にすっぽり収まったわたしは、こんなのもう、ドキドキせざるを得ない。

「秋瀬さんっ……お酒、飲み過ぎたんですか?」

「……そうだな。かなり飲まされた」

「やっぱり」

「全部出したが」

「えぇっ?」

「酔っていては、まともに話もできないしな。誰かさんみたいに、記憶亡くして失態を晒したくもない」

待って下さい秋瀬さん。

それ、わたしのこと言っていますか?

そりゃあ、記憶をなくすくらい飲んで目覚めたら秋瀬さんの部屋なんて、失態以外のなにものでもないですが……。

どうしてかくまってくれたのか、謎すぎます。


「いい加減、話して下さいよ」

「なにを」

「わたしは、あの日……先々週の金曜日、秋瀬さんとどう出会ったんですか?」

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