毒舌王子に囚われました


「だろうな」と嬉しそうに、片方の口角だけを上げて笑う。

悪魔、再来である。

「酷いです……!」

「でも、稚沙都はそんな俺が好きなんだろ?」

「なっ……」

「優しいだけの男は友達止まりなんだろ」

「な、なんでそのこと……」

「佐久間がいってた」

「佐久間くんの、おしゃべり」

「つーか、聞き出した。お前と話したこと、根掘り葉掘り」

えぇっ!?

「あと、お前のこと二度と誘うなって釘さしといた」

それで……あれ以来、佐久間くんから誘いがないの?

「俺だけ見てろ、稚沙都」

また新しい痕をわたしの身体に残す、秋瀬さん。

キスマークをこんなにつけてくるなんて、ちょっと異常だと思う。

でも、そんなことすらわたしは嬉しい。

秋瀬さんがっ……。

いつもより、ストレートな秋瀬さんは……。

「俺、どうしようもなく、お前のことが必要なんだ」

甘い。

甘すぎるっ……。


秋瀬さんの手が、わたしの身体をまさぐり始める。

もう一回……するつもりなのかな。

「……眠くないんですか?」

「眠いよ。死ぬほど疲れてる。それでもお前のことが欲しい」

「……!!」

「お前となら、作ってみたいかも」

「作ってみたい……? なにをです?」

「家族ってもんを」

「……!!」

「どう思う?」

ど、どう思うって……

今度こそ、プロポーズ的な、あれですか!?


「作りたいです。でも、まずは、もっともっとお互いを知りたいというか……」

「ふぅん。だったら、朝まで寝かせてやらない」

「なっ……」

「知りたいんだろ? 俺のこと」

「そうですけど、さすがに朝までは……」

身体がもちません。
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