毒舌王子に囚われました
本気なのか冗談なのか。
つかみどころのない人だけれど。
信じたい。
秋瀬さんの言葉も。行動も。
全部、愛があってのものなんだって。
「ね、寝ましょう、今夜は」
「だから、そういわれると――余計にお前の中の〝限界〟を、崩したくなるんだよ」
……わたしは、この人と一緒になって、本当に大丈夫なのかな。
「絶対、大切にするから」
「……はい」
秋瀬さんに包み込まれて、秋瀬さんの愛が痛いくらいに伝わってきた。
「秋瀬さん?」
返事がない。
「……寝てるし」
覆いかぶさってきたと思ったらこの通り。
朝までもたないのは、秋瀬さんの方じゃないですか。
秋瀬さんの身体を、ゆっくりと、わたしからおろす。
潔癖男が、よくもまぁ……こんなに無防備に他人の隣で寝ていられますね?
ううん……
きっとわたしは、秋瀬さんの中で、もう〝他人〟じゃないのだと思えた。
安心しきってくれているのが、嬉しい。
あぁ、もう。
本当にこの人には叶わない。
わたしがあなたに夢中なように、あなたもわたしにまんざらでもない。
そんなことを実感できた夜。
この人と、生きていこうと思った。
かけがえのない時間を、過ごそうと思った。
「……アホか。さっさとその汚い物を脱げ」
秋瀬さん秋瀬さん。
一体どんな夢、みてるんですか……?