青野君の犬になりたい
「ねえ、もうやめなさいよ」
英子が今日も鼻の穴を膨らませて言う。
「うーん……」
青野君と詩織さんの2ショットを目の当たりにした後、ぐだぐだになりながらも英子の買い物のお供を務め、心身消耗してぐったりとカフェのソファにもたれかかる。
先ほどの光景がショックで思考回路がぴたりと止まっている。
やめるって何を? 青野君を好きなこと? どうやったらやめられるの? 
ぼーっとしている私のふがいなさに英子の鼻がますます膨らむ。
「ちょうどいいわ。来週、私の彼がコンパ開くから参加してよ。私と彼のほかに男3人女3人の予定なんだけど、手ごろな女子がいないのよ」
「なにがちょうどいいの?」
「気晴らし。それと新しい男探しにも」
ほかの出会い探しに興味はなかったし全然気乗りしなかったけど、英子のしつこさに根負けして参加することにした。
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