冷徹ドクター 秘密の独占愛
もしかしたらあの時、本当は寝ていたのかもしれない。
超リアルな夢を見ていて、夢と現実がごっちゃになっていたのかもしれない。
そんなことを考えていた。
じゃないと、あの状況の説明がつかない。
あんなこと、副院長が私にしてくるなんて絶対に考えられない。
だけどあの後、何事もなかったように副院長が診療室を出ていくと、私は勢いよくユニットから飛び起きていた。
夢から覚める瞬間はどこにもなかったのだ。
あの時、目で見て確認したわけじゃない。
だけど、そばにあった気配と触れた感覚。
頭上から接近した顔は間違いなく近距離まで迫り、ほんの一瞬、微かに唇へと触れた。
でも、夢じゃなかったとしても、やっぱり何かの間違いとしか思えない。
だって、そんなこと有り得ない。
こんな調子で、あの日から色々処理できずに一人悶々としている。