冷徹ドクター 秘密の独占愛


ハッとして振り向くと、そこには真顔で立つ律己先生の姿があった。

その手には数枚のチラシを持っている。


「あっ、先生、おはようございます! お世話になってます!」


突然呼ばれて、慎は若干慌てた声で挨拶をする。
私から離れ、深めに頭を下げた。

いかにも話していたことを隠すようなあからさまな態度に、こっちがそわそわする羽目になる。

平静を装いながら超音波洗浄機のスイッチをオンにした。


「この間の拡大鏡のことで聞きたいことがあるんだけど」

「あ、はい! では今、伺います!」


どうやら機材のことで話があったらしく、声を掛けにきたらしい。

内心、助かったとホッとする。

そそくさと消毒室を出て受付けへと納品書の判をもらいに行く慎を見送りながら、律己先生ナイスタイミング!と心の中で感謝した。


「……大丈夫か」

「えっ……あ、はい」

「ならいい」

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