冷徹ドクター 秘密の独占愛
受付けに向かった慎の後を追って、律己先生はその場を離れていく。
勢いで返事をしちゃったけど、一人になってから“え?”と考え込んでしまった。
大丈夫か、って……もしかして、慎と話してたことだったりする?
タイミング的にそのことを言ってるとしか思えない。
ってことは、やっぱりこの間の昼休みのやり取りを聞かれてたってこと?
そこまで展開してみて、いやいやいや、と考え直す。
もし聞かれていたとしても、そんなことで声を掛けてくれるなんて有り得ない。
どんだけ都合良く考えてしまったのかと思うと、羞恥心で内の自分がジタバタとのたうち回る。
それでも、『……大丈夫か?』と言ってくれた時の声がどこか優しく耳に残っていて、勘違いするには十分な材料になっていた。