冷徹ドクター 秘密の独占愛
「お前はいつも……そうやって俺の気持ちを救ってくれる」
「……?」
「しばらく、ここに居てくれないか?」
「え……?」
「大丈夫だと安心できるまで、独り暮らしの家に帰したくない」
思いもよらない律己先生の申し出は、少し落ち着きを取り戻していた鼓動の高鳴りをまた急激に加速させていく。
「で、も……」
「今度は俺が、お前の不安な気持ちを救いたい……駄目か?」
胸の奥がギュッと、安心感に包まれたような、そんな感じがした。
それはまるで、守られるように抱き締められているみたいで、回された腕の優しさとリンクする。
「駄目じゃ…….ないです」
律己先生の腕の中で返した私のか細い声は、耳を澄まさないと聞こえないくらい小さかった。
返事を聞いた律己先生は包み込んだ腕を少し緩めると、覗き込むようにして私の顔を見つめる。
言葉もなく見つめ合い、鼓動は次第に高鳴りを増していく。
近距離にある綺麗な顔が近付くのを感じ、そっと瞳を閉じていた。