冷徹ドクター 秘密の独占愛
いつも感情が見えない律己先生が明かした胸の内は、私の心を大きく揺さぶった。
そんな風に言ってもらえるようなことなんて、あの時の私は何一つしていない。
ただただ必死に、目の前のことに向かっていただけ。
それだけだった。
「それは……私の方ですよ」
衛生士の職に就いてから、何となく日々を過ごしてきた。
仕事はもちろん嫌いじゃなかったし、辞めようと思ったことは一度だってない。
だけど、与えられた環境の中で、それなりにやっていればいいと思っていた。
でも、新しい環境に身を置いて、それまで求められなかった知識やスキルを要求されて、私の中で仕事の概念は確かに変わった。
そして今は、自分の仕事にやりがいを感じている。
それは、恐くても厳しくても、間違いなく律己先生のおかげだと思っている。
「正直……初めの頃は先生のこと恐くて、心折れてました。でも今は、先生の元で仕事ができること、良かったって思ってます。仕事のやりがいも楽しさも、もっと知りたいって、今は思えてます」
そう言った私に、律己先生は気が抜けたような笑みを見せた。
初めて見せてくれた気を許したような表情に、私の顔も自然と緩む。
律己先生はその笑みを残したまま、再び私の体を引き寄せた。