冷徹ドクター 秘密の独占愛
「今いる衛生士さんがね、急に辞めることになったの。だから、今すぐにでも衛生士さんに来てほしくてね」
昨日見た求人を思い返す。
だから、急募なわけか……。
でも、急に辞めるって何故。
「うちは衛生士枠でも患者さん取ってるし、ドクターの補助も衛生士さんにお願いしたいことも多くね。あと、往診にも同行するのは衛生士さんだから」
そこまで聞いてもう目が回りそうだった。
無理だ、絶対に。
ぬるま湯に浸かってきた私なんかに務まるわけがない内容だ。
「あ、でも……私、そんなにスキルがないので」
「大丈夫大丈夫! すぐにうちのやり方に慣れるから、心配はいらないよ。ちゃんと指導もするからね」
「はあ……」
院長はもう、狙った獲物は逃さないと言わんばかりの目をしている。
面接に来ておいて先方がぜひうちに、と言ってくれているのに、私の反応も微妙すぎる。
だって、絶対怖気付く予感しかしない!