冷徹ドクター 秘密の独占愛
「長く勤めていたんだね、塚田先生のところに」
「はい。新卒時から、お世話になっていました」
「そうか。勤続長いところがとてもいいね」
「ありがとうございます」
と、返事をしつつ、塚田先生のところだったからこそこの勤続年数だと密かに思う。
この医院だったら……。
「この調子で、ぜひうちでも働いてもらえないかな」
「あっ、はい」
うっかり「はい」なんて返事をしてしまうと、院長はパッと表情を明るくする。
いや、その“はい”は雇ってくださいの“はい”ではなくて……!
「よし、そうと決まれば明日からでも。白衣は、Mサイズで大丈夫だね」
「え、あの」
「ちょっと、院長! 浅木さん困っちゃうじゃない。ごめんなさいね、まだ何も話してないのに」
院長夫人の助け船が出て命拾いする。
ホッとしたものの、「実はね……」と急に深刻そうに切り出した夫人の様子に、新たな緊張が押し寄せた。