冷徹ドクター 秘密の独占愛
支度を終えて診療室に出ると、いつもと同じ朝の準備が私を待っていた。
すでに先に診療室に出ていた助手のみんなと次々に挨拶を交わす。
受付けに行って今日のアポイントを確認していると、棚からカルテ出しをしていた森さんが声を掛けてきた。
「千紗ちゃん、カルテありがとう。昨日、あれから結構残業したの?」
「あ、三十分くらいです。そんなに遅くまでは」
「そっか、なら良かった。今日も千紗ちゃんと谷口さん忙しくなりそうだね」
私が眺めるアポ帳を横から覗き込み、森さんは言う。
「カルテ、手が空いた時で大丈夫だから、今日は残業しなくて済めばいいね」
「ですね……なるべく溜めないようにします」
話していると、奥から下村さんや中田さんの「おはようございます」の挨拶が聞こえてくる。
振り返ると、白衣姿のいつもの律己先生が入ってきたところだった。