冷徹ドクター 秘密の独占愛
「あの、さっき気付いたんですが……」
食事も後半に入ってきた頃、思い出したように話を切り出す。
律己先生に「何だ?」と問われ、テレビがあるリビングに目を向けた。
「向こうの棚にある、ガラスの置物って、アザラシですよね?」
モノトーン調で、生活に必要な家具や家電と、少しの観葉植物。
それ以外の物が置いてあるとすれば、律己先生が読んでいる医療書で、それだってすぐに自室に片付けられてしまう。
そんなさっぱりしたリビングの中で、あのアザラシの置物は妙に存在感を放っている。
このリビングにはミスマッチ、というやつだ。
「ああ、アザラシだ」
「やっぱり……」
特に包み隠さず答えは返ってきたものの、あっさりした答えが返ってきて、内心ハッとしてしまう。
もしかしたら、聞いてはいけないネタだったりとか、有り得ない話じゃない。
例えば、誰かとの思い出の品だったりとか……。
「好きなんだ、アザラシ」
「……へ?」