冷徹ドクター 秘密の独占愛


律己先生に器用なんて言われると、謙遜ではなく本当に申し訳ない気持ちになってしまう。

口の中という狭い術野で細かい縫合をしたり、切削した歯の形を形成したり、律己先生の手技は練習以前に生まれ持った才能だと思う。


律己先生は「それとこれは別だろ」なんて笑ったけど、私は「そんなことないです!」と引かなかった。


「浅木が作った料理を食べる日がくるなんて、考えもしなかった」


席について対面した律己先生は、スマイルオムライスを目にしながら、感慨深そうに呟く。


「それは、私も同じですよ」


自分が作った料理を律己先生と食べるということ以前に、仕事外の時間を一緒に過ごすこと自体、未だに信じられないことだ。


「だよな」と言った律己先生は少し笑ってスプーンを手に取る。

そして、「いただきます」とオムライスにスプーンを入れた。


「……どうですか?」


料理が大得意なわけではない私は、スプーンを手にしたまま、じっと律己先生の感想を窺う。

律己先生は私の真剣な視線に気付くと、フッと笑って「美味いよ」と言ってくれた。

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