冷徹ドクター 秘密の独占愛


優しくしてやれないかもなんて宣言されていたのに、昨晩の律己先生は全くその逆だった。

何度も求められたけど、私に触れる指は繊細で優しく、常に気遣ってくれていた。

思い出してまた体が火照るような感じがして、シーツの下の体をぎゅっと抱き締める。

パソコンに向き直った律己先生の様子を窺うように、そろりと背中をベッドから起こした。


「お仕事、ですか?」

「……ああ、ちょっと確認してただけだ」


本当に熱心だなと思う。

こんな朝っぱらから、プライベートな時間でも患者さんのことが頭にあって、こうしてレントゲンを眺めてしまうのだから、やっぱり律己先生は病院を継承するに相応しい。

学生時代からたくさんのドクターと接してきたけれど、律己先生みたいなドクターには今まで出会わなかった。


「今日は、律己先生の予約ぎっしりでしたね」

「確か、午前中にFOPが入ってたな」


パソコンの電源を落としながら、律己先生は今日の予定について尋ねてくる。


「あ、はい、渡部さんの……。すいません、私がSRPで取りきれなかったのだと」

「いや、元々FOP適応だろうと思っていた患者だ。開いた方が手っ取り早い」


パソコンの画面が暗く落ちると、律己先生は椅子から立ち上がり私のいるベッドへと上がってくる。

仕事の話をしながらも、律己先生はお構いなしにシーツに隠れる私をそっと抱き締めた。

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