冷徹ドクター 秘密の独占愛
瞼の向こうに薄っすらと光を感じ、閉じている目を静かに開いていく。
ぼんやりと目に映ったのは、ベッドの向こうにある机の前に腰掛ける律己先生の背中。
ブラックのTシャツにグレーのパンツというリラックスした部屋着を着た姿の向こうに見えるのは、ノートパソコンに写った誰かのパントモ画像だった。
下顎臼歯部の両側にインプラントが入っている。
素肌に掛けられたシーツの肌触りが冷たく心地いい。
自分の危ういままの姿を隠すように、首まですっぽりシーツを引き上げた。
「おはよう」
「あっ……おはよう、ございます」
もぞもぞと動いた私の気配に気付いた律己先生が振り返る。
まだ寝ぼけた顔をしている私を見つめ、律己先生はフッと笑った。
「体は大丈夫か」
「えっ……!」
まだ働き始めていない頭が、そんな質問に一気に目覚める。
医療従事者の律己先生がそんな風に言うと、不思議と“そういう意味”に聞こえないマジックにかかる。
「無理をさせたからな」
「いえっ、大丈夫です、全然……」