冷徹ドクター 秘密の独占愛
うちの医院に津田さんが来てしまったこと。
私が津田さんを担当したこと。
津田さんに気に入られてしまったこと。
こうなることは、もう避けられない運命だったのかもしれない。
だけど、律己先生を巻き込んでしまったことは、きっと避けられた。
私が律己先生を頼らなければ。
律己先生に甘えて、居候なんてしなければ。
そうすれば、今日のことは起こらなかった。
津田さんの怒りの矛先が、律己先生に向かうことはきっとなかった。
私が、律己先生を巻き込んでしまったんだ……。
しんと静かなフロアに、パタパタと足音がしてくるのに気が付く。
足元を見ていた視線を音の先に向けてみると、誰の姿もなかった廊下の先から思わぬ人が現れた。