冷徹ドクター 秘密の独占愛


「そっか……じゃあ、やっぱりあのときのが副院長だったのかな」

「もうさ、はっきり聞いてみたら? あのときの先生ですよねって」


横から覗き込むようにして顔を見せた華世は、やたら楽しそうな表情でそんな提案をしてくる。

目をキラキラさせて、無理難題を言ってくれるもんだ。


「いや、無理無理。そんなこと今更聞けないよ」

「何でよ。私だったら普通に聞いちゃうけどなー」

「華世は知らないからそんなこと言えるんだよ。そんなこと聞いたら絶対睨まれるし」

「いや、だってさ、わざわざあのときのボールペンを返してきたんだよ? 聞いてもいいでしょ。お礼の一つ言わないでどうすんのよ」

「お礼、ね……」


わざわざ返していただいてありがとうございますなんて言った日には、自惚れるなとか一喝されそうだ。


「ていうか、むしろさ、千紗のこと気に入ってずっと持ってたりとかしたりして!」

「はぁ?!」

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