冷徹ドクター 秘密の独占愛


始まりは、至って普通の恋愛だった。


爽やかで仕事も真面目で、おまけに結構イケメンで。
毎日営業に来る慎の存在は、私のちょっとした楽しみになっていた。

慎の私に対する態度がどこか特別なものだというのも何となく感じていたから、意識するようになるまで時間はかからなかった。


恋の始まりのワクワクしたような気持ちを味わいながら、あるとき慎の方からアクションを起こしてきた。

番号交換しませんか、と。

涼しい顔をしつつも、内心『キタこれ!』と盛大に喜んだ記憶がある。


それから連絡を取り合い、間も無く食事に誘われた。

医院外で初めて会った私に、「雰囲気が全然違って驚いた」とか「本当に彼氏いないんですか?」などと、慎はこれでもかというほどの褒め言葉を浴びせた。

脈ありと確信を持てる言動の数々に、付き合うことになるのも時間の問題かも、なんて思いながら食事を楽しんだ。


しかしこの日、私の“悪いところ”が思わぬ展開を引き起こすこととなる。

押しに弱く、流されやすい。
その、ダメなところだ。


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