冷徹ドクター 秘密の独占愛



「あの後、ちゃんとけじめはつけた」


いつになく真面目な顔をして、慎は真っ正面から私を見つめる。

その目を見ることにも嫌気がさして、無意識に視線を慎から外していた。


「だから、もう一回考え直してほしい」


……とかって、浮気がバレたら他の彼女にも言ってるんじゃない?


もう何を言われてもそんな風に不の考えしか浮かばない。

一度なくした信用を取り戻すのは、そんな簡単なことじゃない。


「もう、よりを戻すつもりはないよ」

「……誰か、もう付き合ってる奴がいるとか?」

「それは、いないけど……」

「じゃあ――」

「とにかく、もう慎とはやり直す気はないから。じゃあ、もう行くね」


平行線をたどる話に終止符をうち、慎を置いてその場を後にする。


控え室に戻ると、下村さんが「何の話でした?」なんて聞いてきたけど、前の営業さんに頼んでいた商品資料の確認だと適当なことを言って誤魔化した。


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