彼女の恋愛偏差値


話が盛り上がって。

まだ終電まで少し時間があるし、きけば私たちの最寄駅は二駅しか離れていない。

終電を逃せば歩いて帰ってもいいやってことで。

途中下車して、ヤツに漫画を借りることになった。

なんならモモを呼び出してあげようという、ついでながらも秘かな我ながらいい計画まで立てて。


散らかってるから少しだけ待っててと言われ、玄関前で待っていた。


「ごめん、散らかってて」

しばらくすると中に招いてくれた。

だけど、6帖1Kの和室は彼のイメージからは遠く、非常に男くさい部屋だった。

着かけの服が乱雑に掛けられていたり。
スチールラックに入りきれない雑誌やCDやDVDが地べたに置かれていて、それは少し揺れたら倒れそうなタワー群をなしていたり。


部屋の大部分を占めているベッドに並んで腰掛ける私たち。

エアコンはスイッチを入れたばかりで、若干冷風が真正面から吹いてきて少し震えた。



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