西城家の花
美桜が笑いかけるといつもなら大志も穏やかな笑みを向けてくれるのだが、何故か神妙な表情でじーっと美桜を見つめ返してきた
大志に見つめられることによって頬に熱を帯び始める美桜だったが、普段と違う反応にやや戸惑っている
まさか浴衣姿が似合っていないのかと心配になった美桜はおずおずと大志に聞いてみた
「あの、大志様…、わたしの格好、どこかおかしかったでしょうか…?」
もしそうだったら帰ったら健に彼の弱点である足の裏をこちょこちょしまくる刑に処してやると企ていたが、美桜の言葉に大志は慌てて首を振った
「そんなことはない。とても似合っている」
散々色んな人に褒められた後だったが、やはり大志に言われるのは別格で、美桜は頬を赤く染め、嬉しそうに笑った
そこでやっといつものように大志が笑い返してくれたので美桜は心底ホッとした
「それでは、行こうか」
外履きを履いた大志が手を差し伸べると、美桜は躊躇いなく大志の大きな手に、自分の手を重ねる
「大志、ちゃんと暗くなる前に美桜様をお送りするのよ」
「お母様、二人はこれから花火大会に向かうのですよ。暗くなる前に帰ったら花火が見れないじゃないですか」
「あら、本当ね。それじゃあ、あまり遅くならないうちにお送りしてね」
「わかりました。それでは行ってまいります」
相変わらずおっとりとした聖と、彼女をフォローする満に見送られ、大志はゆっくりと美桜の手を引き、花火大会の会場へと向かう