溺愛スイートライフ~御曹司に甘く迫られてます~
「あんたと一緒に仕事してるってだけで、私がやっかまれてること知ってるでしょう?」
「会社では今まで通りでいいよ。みんなには内緒の方がスリルあっていいでしょ?」
スリルなんて別にいらないし。
花梨が内心げんなりしていると、新條は意地悪な笑みを浮かべて一言付け加えた。
「もちろん、花梨の方から誘ったってことも内緒にしとくよ」
「な……っ!」
これって脅迫? 新條が言いふらすとは思えないけれど、万が一言いふらされたら痛手を喰らうのは花梨の方であることは間違いない。
花梨は覚悟を決めて頷くしかなかった。
「……わかった。付き合うわ」
「よかった」
脅迫しておきながら、予想外にホッとした表情で、新條は嬉しそうに笑う。
「いやぁ、自分から告白したのは初めてだから、ふられたらどうしようって思った」
はいはい、そうですか。このモテ男め。
花梨は冷めた目で見つめながら釘を刺す。
「言っとくけど、付き合うからっていきなり許したりはしないわよ」
「わかってるよ。それは花梨の気持ちを尊重する」
さっきからいきなり押し倒したり脅迫したりしてた奴の言うことは今一つ信用できないが、とりあえず納得するしかない。
ニコニコと子どものように嬉しそうにしていた新條の目が、途端に獲物を捕捉した獣のような光を湛えた。
「でもね。必ずオレを欲しいって言わせてみせるから」
顔をひきつらせながら絶句する花梨の手を引いて、新條は一緒に体を起こす。そして花梨の肩を抱き寄せた。
少し身構えて新條を見つめた花梨の唇に、彼は軽く口づける。
「まずは、恋人らしくデートしようか」
「いちいちキスしないで」
本当にそのうち新條に恋愛感情が芽生えるのか、甚だ疑問に思いながら花梨は内心大きくため息をついた。