溺愛スイートライフ~御曹司に甘く迫られてます~
嬉しそうに笑いながら近づいてくる顔から思い切り顔を背ける。新條は不服そうに眉を寄せて尋ねた。
「なんで?」
「当たり前じゃない。好きでもない人と……」
本当はキスもどうかと思っているのに。
けれど新條は事も無げにサラリと告げる。
「オレは花梨のこと好きだよ」
そんな、目的のために口をついて出た告白信用できない。若干イラッとして花梨は声を荒げる。
「あんたのことじゃなくて、私の方よ!」
「え、オレのこと好きじゃないの?」
心底意外そうに新條は目を見張った。どんだけ自信家なんだとあきれる。自他共に認める高スペックのなせる技か。
「嫌いじゃないし、どっちかっていうと好きだけど、友達っていうか腐れ縁っていうか、とにかく恋愛感情はないの」
「そっか」
あっけないほどあっりと納得して、新條は花梨の腕を離した。今度こそホッとしたのもつかの間、新條は再び顔を近づけてニヤリと笑う。
「じゃあさ、付き合ってみようよ」
「はぁ!?」
「嫌いじゃないなら、オレの恋人になって」
「無理!」
せっかく小康状態なのに、そんなことになったら会社に行けなくなる。特に女子更衣室に。