溺愛スイートライフ~御曹司に甘く迫られてます~



 背後からの援護射撃に花梨と新條はそろって振り返る。そこにはてっきり立ち去ったものと思っていた水谷さんがにこにこと笑顔をたたえていた。

「お世話になっております、新條さん。部外者が割り込んですみません」

 水谷さんは新條の横まで歩み出て叔父さんに挨拶をする。父親とは昔なじみだと聞いていたが、叔父さんとも面識があるようだ。
 そしておとといのことを話してくれた。

「先日、こちらのスイートルームで貴陽さんにルームサービスをさせていただきました。その時、間近でおふたりの様子を拝見しましたが、大変仲睦まじく見受けられました。恋人のフリをしているようには見えませんでしたよ」

 第三者である水谷さんの話に、叔父さんの疑念は晴れたのか、渋々ながらも納得したようだ。

「まぁ、あなたがそう言うなら、そうなのかもしれませんな」

 それを聞いて新條が鬼の首を取ったように言う。

「だから、さっきからみんなそう言ってるのに」
「君たちはみんな当事者だ。おまけに同じ会社の同じ部署に勤めているそうじゃないか。口裏合わせている可能性が十分すぎるほどある」
「その疑り深い性格直したほうがいいよ。いい商談のチャンスつかみ損ねるかもね」
「よけいなお世話だ。経営にかかわっていないおまえより見極める目はある」

 そう言って叔父さんは、少し気まずそうに新條を睨んだ。

 どうにか叔父さんの誤解も解けて、お見合いは破談となる。新條のゲイ疑惑については、完全に払拭されてはいないようだが。

 新條の叔父さんは支配人と話があると言ってホテルの奥に消えていった。水谷さんも待ち合わせをしていた娘さんが現れて、この場を去った。


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