溺愛スイートライフ~御曹司に甘く迫られてます~
叔父さんは甥に女の恋人がいる説はまるっと無視して新條に言う。
「日向さんとのご縁が流れてしまったのはしょうがないが、おかしな噂が広まる前に、おまえには男ではなくちゃんとしたお嬢さんと結婚してもらう」
「だから、オレは花梨とつき合ってるんだって言ってるじゃないか」
「見え透いたウソはやめろ。今まで話すらなかったじゃないか」
「それは、最近つき合い始めたからだよ」
「さっき、そこのお嬢さんは入社当時からつき合ってるって言ってたが?」
「恋人としてつき合い始めたのは最近なんだ」
「苦しい言い訳だな」
新條が言っていることはすべて本当のことなのだが、ウソだと決めつけていると確かに苦しい言い訳にしか聞こえない。花梨の挨拶さえ、叔父さんの援護に回ってしまった。
叔父さんが最後の切り札を出す。
「今日突然この場に都合よく現れた恋人など、おまえが頼んで来てもらったとしか思えない」
確かにそんな風に見えるだろう。けれど違う。花梨は自分の意思で新條には断りもなくここにやってきた。
決めつけた物言いにカチンときて、花梨は反射的に反論した。
「お言葉ですが、私はここで貴陽さんがお見合いをするということをあらかじめ聞いていました。恋人が自分以外の人とお見合いをするのは気になって当然だと思います。じっと待っていられなくて様子を窺いに来てしまいました」
花梨が話し終わったと同時に、横から新條が抱きしめる。
「花梨……!」
「ちょっ……! 放して」
ここ、そこそこ人が行き交うホテルのロビーだし!
嬉しそうに頬をすり寄せる新條の腕から逃れようと、花梨は必死に抵抗した。それを叔父さんがすかさず指摘する。
「嫌がってるようにしか見えないが、本当に恋人なのか?」
「本当だと思いますよ」