貴方が手をつないでくれるなら


あ゙ー、ビビった。大祐の野郎…暇潰しも大概にしろってんだ。たまたま俺が起きてたから良かったけど。あいつ、突拍子も無い事する時があるからな。いきなり、本当にうちに上がり込まれたら…今は…。
目の前で、眞壁さんが寝てると知ったら…。でかい悲鳴上げてたかも知れないな。『ぃや゙ーっ!』とか、男らしからぬ声をあげてな。
更に、こんな状態見たら、大騒ぎするに違いない…。いや、見せるなんて絶対、有り得ないけど。
あいつ…、うちに通ってる間に合い鍵なんか内緒で作って無いだろうな…。俺、鍵かけてたかな。まずい、二重ロックしとかないとな。

……ふぅ…よく眠っている。…疲れたんだな。頭を撫でて頬に触れた。…なんて…はぁ、反省だ…。ん゙ん゙、ちょっと、…大分…反省だ…。あ゙ー、…いいって言われて、それから…爆発した。…止まらなくて、というか、熱くなって、つい、だ。…俺は誠実な男ではない。結局、ただの男だ。
……しかし…、うちに来ようとした時から、そのつもりだったのだろうか。きっと、そんな事は無いだろう。漠然としたモノはあったのかも知れないが。だってだな、言われたからっていっても、男の部屋に行こうとしてる訳だから。

頭を撫でた。

…はぁ。それとも、寝ようと言っても寝られ無くて、色々話している内に…構わないと思ったのか。そんな簡単な事じゃないよな…。
横になってると、どうしても手が触れたり、足が妙に触れ合ったりして…。身体も触れてるし、なんだかんだで。戸惑いながら……触れて、つい…。
ん゙ん゙…そもそもだ。一緒に寝てるからだ。…うん。これは必然だ。いつかはこうなるのが、急に今日だったんだ。

日向、大丈夫かな…。寒くないかな。布団の中だし、俺のシャツを着てるっちゃあ、着てるけど。
…。こんな格好、…罪だよな。…裸にTシャツなんて……。だから、余計、寒いんじゃ無いかと思ってしまう…。言ってる俺は、パン一なんだけど。

馬鹿大祐が…。本当に完全に起こしやがって。急に妙な連絡をして来たりして。なんか察知したのか…あいつの野性の本能か。…恐ろしい。

もう目が覚めたし、眠れない。はぁ…元々眠れる訳が無い……。はぁ、この事は、言わなくていいよな…。つき合いを始める事になったって事だけでいいよな。こういうの暗黙の了解だよな。

「ん…柏、木さ、ん…」

ん?…寝言か…日向…。俺の名前、何度も呼んだな。んん。はぁ…お義父さんて、言われなくて良かった。頭に触れた。………唇に触れた。

「…ん、お義父、さ、ん…」

はああぁぁ…。やっぱり上から見られてたかな。


ピンポン。
…あ゙。なんだ。…誰だ。こんな時間に。……まさか…まさかだよな…。

「開けて〜悠志〜。来ちゃった〜」

はぁああ?…は?…悪寒がする…。あいつ…バカ野郎………来たのか。嘘だろ?…。
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