一之瀬さんちの家政婦君
「すぐそこならいいんじゃない?それに、その細腕で抱えるには重量オーバーでしょ。牛乳、砂糖、みりん……重い物ばっか」
レジ袋から透ける中身を見て櫂人はクスクスとおかしそうに笑う。
櫂人の言う通り。
ビニールの持ち手が手のひらに食い込んで赤みを帯びている。
「男には頼るもんだよ。男が女の子に勝てるものなんて力くらいしかなんだから。あ……飛鳥ちゃんも男の子だったな」
今度ははははっと声を出して笑った。
先ほどは飛鳥の事を“君”呼びしていたのに、もう元通りの“チャン”呼びにもどってしまっている。
本当にこの人は人の気も知らないで……。
それでも『公では男の子』は守られているみたいで責められない。
彼自身はその事にまったく気づいていない様子。
そんな彼を見ているとなんだかこっちまでおかしく思えてきて、気付けば一緒になって笑っていた。