一之瀬さんちの家政婦君


「飛鳥ちゃんって笑うとえくぼできるんだ……」


櫂人が発した何気ない一言に飛鳥の顔は一瞬にして沸騰した。

このところ、まともに笑ってもいないものだから指摘をされると急に恥ずかしくなんてきて。

飛鳥は思わずプイッ顔を背けてしまう。


「い、行きますよ!」


言葉を詰まらせながらそう言うと、飛鳥はスタスタと歩き始めた。


「ま、待って!待って!怒った?怒ったの…?えくぼは可愛いものなんだよ?俺的にめちゃめちゃ褒め言葉だからね!」


必死で弁解しながら後を追ってくる櫂人。

しかし、飛鳥は振り向いて“怒っていない”と伝える事ができない。

その代わり、早足だった速度を少しずつ落として、櫂人が並ぶのを待った。

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