一之瀬さんちの家政婦君
「い、嫌です。顔写真変だし」
「実物と大して変わらないだろ」
「それどういう意味ですか……」
「そのままの意味だろ。早く見せないか」
和真は再度右手をのばした。
しかし、飛鳥は鞄をギュッと抱きかかえて「嫌です!」と拒絶して、間髪入れず続ける。
「大体、女でいる事の何がダメなんですか!理由があるならちゃんと説明して下さいよ!」
飛鳥は今まで心の奥底にしまっていた疑問と感情を一気に爆発させた。
「……」
彼女がこんなに訴えても、和真の口は閉ざされたまま。
しばらく黙ったまま、二人の間に重たい空気が広がった。
「……もういい!」
飛鳥は脱兎のごとく自分の部屋に逃げ込んだ。
部屋の扉を乱暴に閉めると、鞄を床に放り投げてすぐにベッドに飛び込んだ。