ドクターと恋を始めました。【完】
「へ〜?悩み事か。…あ、もう遅いし送って行こうか?」
「いえ、もうすぐそこなんで。」
会ったばかりの人に、送ってもらうなんてことできないし、凪ちゃんのお兄さんだ。
…結局、あたしは迷惑かけてばかり。
「そっか。琴音ちゃん、これからも凪と仲良くしてやってね。」
「…こちらこそです。」
あと、何日生きられるのだろう。
心筋梗塞についてはよくテレビで見るけど、早期発見がない限り助かることの可能性はまず低いらしい。
「ただいま。」
そう言っても『おかえり』という言葉は12年前から聞いたこともない。
「…自業自得なのに、本当っ、馬鹿だ。」
泣く資格なんてないのに、
それでも、涙が溢れてくるのは何故だろう。
いちばん泣きたいのはお母さんなのに。
もっと生きたかっただろうし、
あの時、『家にある具材で』なんて言ってたら出掛ける予定もなかった。
あたし、ワガママだったから…、
「なんで、…あたしが生きてるの?」
代わりにあたしが死ねば良かったのに。
きっと、神様はあたしを苦しませることが好きなんだよね。