ドクターと恋を始めました。【完】
オペが始まった。
正直に言うと、今までやってきたオペの中でいちばん緊張する。
初めてメスを握った気分。
俺に琴音の命がかかっていると自分自身にプレッシャーをかけたら余計に緊張する。
「愁、大丈夫か?」
「…雄貴先輩、
正直言えば俺、超緊張してます。」
人の命というものは、
繊細すぎて
儚くもろい。
失敗なんて一切許されない状況だ。
「おまえでも緊張するんだな。」
「多分、こんなに意識したことなかったからだと思います。」
「それに、多分、愁は患者が琴音ちゃんだと意識しすぎてるから、余計に緊張してるんだと思うよ。
…大切だからこそ手が出せないものもあるしな?」
大切だからこそ…、
でも、こんなとこで立ち止まれない。
俺のこの手で、100%絶対に成功させる。
「…これより、千葉琴音さんの冠動脈バイパス手術をはじめます。」
こうして、琴音のオペがスタートした。